Column

ツールを変えても、
2回目も同じ理由で止まる。

1つ目のCRMが定着せず、別のツールに入れ替える。これで解決することもありますが、決めていなかったことが同じままなら、2回目も同じところで止まります。入れ直す前に、何が原因だったかを分けます。

導入が失敗する5つのパターン

定着しなかった理由は、たいてい次の5つのどれかです。1と2はツールを変えれば直りますが、3〜5はツールを変えても直りません。

Pattern 01

自社の規模に対して、機能が多すぎた

大企業向けの製品を、営業3人の会社に入れる。設定項目が多く、初期構築だけで数ヶ月かかります。使い始める前に、担当者が疲れて止まります。

入れ直すときの基準

いま実際に見ている項目を数えます。5つ以下なら、スプレッドシートで足りる可能性があります。ツールが必要なのは、複数人が同時に更新する場合と、履歴を追う必要がある場合です。

Pattern 02

すでに使っているツールと分断された

メール、カレンダー、会計ソフト、チャット。既存の道具とつながらないと、同じ情報を2回入れることになります。二重入力が発生した時点で、片方は必ず放置されます。

入れ直すときの基準

連携が必要な相手を先に書き出します。「あとで連携できる」ではなく、いま連携できるかで選びます。連携の設定を自社でできない場合、外部に頼む費用も見積に含めます。

Pattern 03

入力ルールを決めずに始めた

案件名の付け方、確度の基準、金額が未確定のときの扱い。決めずに始めると、3ヶ月後には人によってバラバラのデータが溜まります。集計しても使えないので、誰も見なくなります。

ツールを変えても直りません

ルールは1枚の紙に書けます。項目ごとに「何を書くか」「迷ったらどうするか」を決めるだけです。この作業をせずに入れ替えると、新しいツールに同じ状態が再現します。

Pattern 04

入力する人に、返りがなかった

データが上長の管理にしか使われていないと、入力は「報告のための作業」になります。自分の仕事が楽になる実感がないものは続きません。意識の問題ではなく、当然の反応です。

ツールを変えても直りません

入力した内容が本人に戻る導線を作ります。詳しくはCRMが入力されない理由に書いています。

Pattern 05

導入を担当した人が、運用まで持てなかった

最も多いパターンです。導入プロジェクトは終わりがありますが、運用には終わりがありません。導入担当が通常業務に戻った時点で、更新が止まります。

ツールを変えても直りません

導入の前に、毎週データを見て、抜けを埋める役を誰か1人に決めます。ここが空欄のまま導入すると、3ヶ月後に必ず止まります。営業担当との兼務にしないことが重要です。

The point

導入前に決めるのは、ツールではなく「誰が回すか」

失敗パターンの3・4・5は、いずれもツール選定の外側にあります。入力ルール、返りの設計、運用担当。この3つが決まっていれば、ツールはたいてい何でも動きます。逆に、この3つが空欄のまま高機能な製品を入れると、機能の分だけ空欄が増えます。

小規模な会社でこの3つを埋めるのが難しいのは、営業担当が全員、目の前の商談を持っているからです。運用を任せられる手が空いていません。

ですから現実的な選択肢は2つです。運用の役を社内で1人決めて時間を確保するか、そこだけを外に出すかです。

入力項目は、この基準で絞る

導入時に項目を増やしすぎると、1件あたりの入力負担が積み上がります。次の基準で、残すものと落とすものを分けます。迷ったら落として構いません。あとから足す方が簡単です。

その項目を使って、来週の行動が変わるか

次回対応日、担当者、金額、確度。見た結果、誰かが何かをするなら残します。

その項目が空欄だと、他の人が代われないか

顧客の担当者名、前回の話の要点。引き継ぎに必要なものは残します。

毎月の集計に、実際に使っているか

受注率や平均単価を出すために要る項目は残します。「出せるようにしておきたい」は該当しません。

「いつか分析に使うかもしれない」項目

この理由で入れた項目は、経験上ほぼ使われません。必要になった時点で足します。

他のシステムに同じものが入っている項目

会計ソフトや受注管理に既にあるなら、二重入力になります。参照する形にします。

選択肢が10個以上ある項目

選ぶのに時間がかかり、人によって選び方がぶれます。まず3〜5個に統合します。

必須にするのは、○の中でもさらに絞ったものだけにします。 必須項目が多いほど、入力そのものが後回しになります。「あとで埋める」が発生しない数まで減らすのが基準です。目安として、商談1件を1〜2分で登録し終えられるかで判断します。

SFAとCRM、どちらが要るのか

2つの言葉は混同されがちですが、一般には次のように説明されます。製品としては両方の機能を持つものが多く、実務では厳密に分けて考える必要はありません。ただし、何を管理したいのかははっきりさせておくと、項目の絞り込みが楽になります。

 SFA(営業支援)CRM(顧客管理)
主に管理するもの 進行中の案件・商談の進捗 顧客との関係・履歴
時間の見方 これから(次に何をするか) これまで(何があったか)
よく見る画面 案件一覧・パイプライン 顧客ごとの履歴
入力が止まると困ること 追客漏れ・見込みが読めない 担当交代時に経緯が分からない
向いている状況 新規案件が同時に複数動いている 既存顧客との取引が長く続く

受注までの検討期間が長く、同時に複数の案件が動く商材ならSFA寄りの使い方に、既存顧客との継続取引が中心ならCRM寄りの使い方になります。どちらも必要な場合が多いので、製品を2つ入れるのではなく、1つの製品でどちらの画面を主に見るかを決めます。

代表的な製品としては、Salesforce、HubSpot、kintone、Zoho CRM などが挙げられます。当方は特定の製品を推奨しませんし、導入・カスタマイズも行いません。すでに入っているものを、決めたルールどおりに使い続けるところを担当します。

入れ直す前に、
止まった理由を特定します

30分だけお時間をください。5つのパターンのどれで止まったかを一緒に見ます。ツールを変える必要がないと判断したら、そうお伝えします。導入・カスタマイズは当方の業務範囲外です。

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