Column
営業のタスク管理が続かないのは、登録する瞬間がないから。
商談の終わりに交わした約束が、数日後には一覧から消えている。営業のタスク管理が続かないときは、ツールを変える前に、約束を記録する瞬間が業務の中にあるかを確認します。
営業担当が残す情報を「誰に・何を・いつまでに」の3点に絞り、登録先を1つにします。その後のCRM・Excelへの転記、期限設定、未対応案件の一覧化は、営業担当以外へ分けられます。
約束が消えるまでの、よくある3日間
追客漏れが起きるとき、どこかで大きなミスがあるわけではありません。それぞれの時点では、全員が合理的に動いています。
この時点では覚えているため、記録を後回しにしやすい場面です。頭の中には「来週、A社に見積」がありますが、一覧にはまだ残っていません。
移動中にできることは限られます。CRMを開いて案件を探し、次回対応日と内容を登録する工程が残っていると、後でやることになりがちです。「後で登録する」状態を作らない設計が必要です。
顧客からの問い合わせ、社内の確認事項、今日の商談準備。締切があるものが優先されます。昨日の「来週送る」には締切が今日ではないので、順番が後ろに回ります。
本人は忘れています。上長は、そもそもその約束を知りません。CRMを見ても、その案件は最終接触日が3日前のままで、他の案件と区別がつきません。止まったことを検知する仕組みが、どこにもありません。次に思い出すのは、顧客から催促が来たときか、月末の案件棚卸しのときです。
タスク管理ツールを入れても、続かない3つの理由
営業のタスク管理が続かない場合、ツールの機能だけが原因とは限りません。いま使っているCRMやスプレッドシートでも、次回対応と期限を記録できるなら、先に運用方法を確認できます。導入そのものでつまずいた場合は、CRM・SFAの導入が失敗する5つのパターンの方が近い話です。
登録する瞬間が、業務の中に無い
「商談が終わったら登録する」と決めても、商談の終わりは次の移動の始まりです。登録という行為に時間が割り当てられていない限り、空いた時間にやることになります。そして営業に空いた時間はほとんどありません。
登録を、営業担当が1アクションで終わる形にします。専用のチャットに「A社/来週火曜までに見積送付」と1行送る、あるいは音声メモを残す方法です。営業担当が毎回CRMを開かなくても、必要情報が残る受け渡しを先に作ります。
タスクの粒度が人によって違い、一覧が使えない
「A社フォロー」と書く人と「A社 山田様へ Bプラン見積を火曜午前まで」と書く人が混在すると、一覧を見ても状況が分かりません。分からない一覧は、次第に誰も開かなくなります。
書式を1行に固定します。「誰に/何を/いつまでに」の3点だけ。項目を増やすと守られなくなるので、この3つ以上は求めません。3点が揃っていれば、本人以外でも代われます。
登録しても、誰も見ていない
登録したタスクが、その後どこでも参照されない場合、登録は純粋な負担になります。見られていない作業は続きません。これは意識の問題ではなく、当然の反応です。
週1回、決まった場で一覧を開きます。重要なのは「次回対応が空欄の案件が、その場で見える」状態を作ることです。担当者を責めるのではなく、その場で次の行動と期限を決めます。
The point
登録する人を、営業担当から外す
3つとも直してもまだ続かない場合、そもそも営業担当が登録する必要があるかを疑ってみてください。
商談後に「A社、来週火曜までに見積」という情報さえどこかに出れば、CRMへの登録も、期限の設定も、リマインドの手配も、本人でなくてもできます。営業担当がやるのは、口頭の約束を1行にして投げることだけになります。移動中の30秒でできます。その先で見積そのものが遅れる場合は、見積の提出が翌日になる理由が別の詰まりを扱っています。
これは仕組みを変える話であって、意識を変える話ではありません。意識で解決しようとして戻ってしまった経験があるなら、次は構造の側を変えてください。
CRMがなくても使える、営業タスク管理表の6項目
営業タスク管理のために、最初からCRMを導入する必要はありません。ExcelやGoogleスプレッドシートでも、次の6項目が同じ場所にあれば、未対応案件を確認できます。
| 項目 | 記入する内容 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 会社・担当者 | 誰との案件か | 同名案件の取り違えを防ぐ |
| 案件の状態 | 提案前・見積中・検討中など | いまどの段階かをそろえる |
| 次にすること | 見積送付・確認電話など | 「フォロー」のような曖昧な表現を避ける |
| 期限 | 次の行動を行う日 | 期限切れを一覧化する |
| 担当者 | 次の行動を行う人 | 誰のタスクかを明確にする |
| 最終接触日 | 顧客と最後に接点を持った日 | 停滞案件を見つける |
週に1度、この3つの数字だけ見る
タスク管理が機能しているかは、案件を1件ずつ見なくても分かります。次の3つを週1回数えるだけで、止まっている案件が浮かび上がります。スプレッドシートでもCRMのビュー機能でも作れます。
次回対応が
設定されていない案件数
進行中なのに、次に何をするかが空欄の案件。ここが最も追客漏れになりやすい場所です。
最終接触から
日数が経った案件数
連絡が途切れたまま放置されている案件。失注しているのに一覧に残り続けている案件も、ここで見つかります。
期限を過ぎたまま
残っているタスク数
登録はされたのに実行されていないもの。ここが多い場合、登録の問題ではなく業務量の問題です。
外に出す場合の進め方
タスクの登録と集計を営業以外に移す場合、順番があります。いきなり全部を渡すと、粒度がバラバラのまま溜まって使えなくなります。
「誰に/何を/いつまでに」の3点を固定します。商談の種類ごとに変えず、全部同じ書式にします。ここが揃っていないと、あとで集計しても使えません。
チャットの専用チャンネル、音声メモ、フォーム——手段は問いませんが、1つに絞ります。2つ以上あると、どちらにも入っていない案件が出ます。
実際に投げてもらい、登録側が処理します。この期間に出る「これはどう登録すればいいか分からない」が、そのままルールの追加分になります。
上のMetric 01〜03を毎週決まった曜日に出します。ここまで来ると、営業担当は投げるだけ、確認は週1回だけになります。
この4ステップは、社内の担当者に渡す場合も同じです。対応業務のページに業務ごとの手順として書いていますので、読んで自社でやっていただいても構いません。渡す先が社内か外かで、やることは変わりません。
いまの状態がそのまま渡せるか、整理が先かは、外注できる業務のチェックで確認できます。8問・30秒です。
営業会議で見るべき数字は3つだけ
営業会議で売上見込みだけを見ても、今週何をするかが決まらないことがあります。小規模企業では、止まりかけている案件を早く見つける数字を先に見ます。
結論:最初に見るべきは、売上予測ではなく「次回対応なし」「接触が古い」「期限超過」の3つです。数字の目的は責めることではなく、対応を決めることです。
数字1:次回対応が空欄の進行案件数
進行中なのに次の予定がない案件は、誰も持っていない案件です。この数を週ごとに出すと、追客漏れが見えます。
案件数が多くても、空欄が少なければ次の一手は管理されています。
数字2:最終接触から一定期間が過ぎた案件数
しばらく連絡がない案件は、保留・失注・対応漏れが混ざっています。商談サイクルに合わせた日数で絞ります。
日数を短くしすぎると、必要以上の追客を生むので注意します。
数字3:期限を過ぎた未完了タスク数
やることは決まったのに実行されていない案件を示します。増えているなら、意欲より業務量や優先順位の問題を疑います。
個人を責める数字にせず、外へ出す作業ややめる作業を探す材料にします。
会議で決めるのは3つだけ
今週動かす案件、保留または失注にする案件、担当を変えるまたは支援を付ける案件。この3つを決めれば、会議は長くなりません。
資料を増やすより、決めた内容を次回確認する方が重要です。
見込み売上はその後に見る
見込み売上は必要ですが、根拠となる案件の次回対応が空欄なら数字だけが残ります。先に案件の事実を整えてから、予測を見ます。
売上予測の精度を上げる目的でも、案件管理の基本は変わりません。
この節の確認項目です。空欄が多いところが、先に整える場所です。
- 次回対応なしを数えている
- 停滞案件の基準日数がある
- 期限超過の原因を分けている
- 会議で担当と期限を決める
- 前回決めた対応を次回確認している
営業のタスク管理で、よくある質問
Q1営業タスクはExcelでも管理できますか。
管理できます。会社・案件の状態・次にすること・期限・担当者・最終接触日の6項目をそろえ、期限切れと次回未設定を絞り込めるようにします。
Q2CRMを導入すれば追客漏れはなくなりますか。
ツールを導入するだけではなく、商談後に情報を残すタイミングと、次回未設定・期限切れを確認する担当を決める必要があります。
Q3営業担当以外へ任せられる作業は何ですか。
商談メモからのタスク登録、期限設定、CRM・Excelの更新、次回未設定・停滞案件・期限切れの一覧化は分担できます。提案内容や優先順位などの営業判断は社内に残します。
Q4最初に確認する数字は何ですか。
進行中なのに次回対応が空欄の案件数、最終接触から一定期間が過ぎた案件数、期限切れの未完了タスク数の3つです。基準日数は自社の商談サイクルに合わせます。
止まっている案件が
どれだけあるか、見ます
30分だけお時間をください。次回対応が空欄の案件が何件あるかを、その場で一緒に数えます。数えた結果が少なければ、外注は不要です。そうお伝えします。
営業タスク管理の整理を相談する売り込みの電話・メールは行いません / 相談だけで終わっても構いません