Column
「営業BPO」は、会社によって
指しているものが違う。
同じ言葉を使っていても、ある会社は電話でのアポ獲得を指し、別の会社は商談後の入力作業を指しています。この状態で3社から見積を取ると、金額も範囲も比べられません。まず言葉を5つに分解します。
営業BPOが指す5つの領域
BPOは Business Process Outsourcing の略で、業務プロセスの外部委託を意味します。「営業BPO」はその営業版ですが、営業という言葉が広すぎるため、実際には次の5つのどれか(あるいは組み合わせ)を指しています。
右上の印は、セコンドデスクの2サービスとの関係です。支援する設計・構築と、別途合意する実行を分けて示します。
新規開拓・アポイント獲得
設計は立ち上げ支援/実行は別途合意リスト作成、電話(テレアポ)、フォーム送信、メール配信でアポイントを取る領域です。成果が「アポ何件」で数えられるため、成果報酬型の契約が成立しやすいのが特徴です。一般に「営業代行」と呼ばれるものの多くがここを指します。
インサイドセールス
実行範囲は継続支援で個別合意問い合わせや資料請求があった見込み客に電話・メールで接触し、商談化まで進める領域です。01との違いは、すでに何らかの接点がある相手を扱う点です。顧客と直接話す仕事なので、商材知識の教育に時間がかかります。
営業事務・営業バックオフィス
管理表・判断ルールの構築が対象商談の前後で発生する事務です。日程調整、商談前の情報整理、議事メモの整形、CRM・SFAへの入力、次回対応タスクの登録、見積書・請求書の定型下書き、案件一覧や停滞案件の集計。顧客と交渉する仕事は含まれません。
この領域は成果を「アポ何件」で数えられないため、成果報酬になじみません。代わりに、見積提出までの日数、次回対応が未設定の案件数、こちらへの確認回数といった数字で測ります。
営業企画・分析
立ち上げ支援で対象・訴求を設計市場調査、ターゲット設計、営業戦略の立案、KPI設計、実績分析。「何を売るか」「誰に売るか」を決める領域です。コンサルティング会社の守備範囲と重なります。
新規営業立ち上げ支援では、対象顧客、価値提案、営業の進め方、毎週見る数字を顧客と設計します。価格・値引き・契約締結などの最終判断は顧客側で行います。
営業システムの導入・運用
管理項目・運用手順の整理が対象CRM・SFA・MAツールの選定、初期設定、カスタマイズ、連携開発。ツールを入れる仕事です。導入支援を専門にする会社があります。
営業管理の仕組み化では、入力項目・次回対応・確認手順を、社内で続けられる形に整えます。日々の入力を継続代行することや、システム開発・カスタマイズを標準で引き受けるものではありません。
The point
「営業代行」と「営業事務代行」は、別のものです
最も混同されるのがここです。名前が1文字違いなので無理もありません。
営業代行は、顧客と話します。電話をかけ、商談し、条件を交渉します。売上に直接つながる代わりに、自社の商材・価格・顧客対応の方針を相手に預けることになります。
営業事務代行は、顧客と話しません。商談は自社の人がやり、その前後の処理だけを外に出します。売上を直接作る仕事ではない代わりに、自社の営業のやり方を外に預けずに済みます。
どちらが良いかではなく、いま足りないのが「商談の数」なのか「商談する時間」なのかで決まります。
自社に必要なのはどの領域か
5つのうちどれを外に出すべきかは、いま何が詰まっているかで決まります。次の質問に答えると絞れます。
目標に対して商談の数が足りていないなら、詰まっているのは入口です。領域01か02を検討します。事務を減らしても、商談の数は増えません。
商談の数は取れているのに手が回らない場合、時間は商談以外に消えています。領域03です。1日のうち、顧客と話していない時間が何に使われているかを書き出すと分かります。
答えられない場合、まずそこを測ります。1週間、作業を記録するだけで見えます。測らずに外注先を探すと、頼む範囲を決められません。
入っているのに使われていないなら、追加のツール導入(領域05)では解決しません。使い続ける役を誰かに割り当てる方が先です。詳しくはCRMが入力されない理由に書いています。
小規模な会社が大手BPOに頼むときに、確認したいこと
これは大手が悪いという話ではありません。構造上、そうなるという話です。大手BPOは、同じ作業が大量に発生する前提で設計されています。だからこそ単価を下げられます。
一方、従業員1〜50名の会社の営業事務は、件数が少なく、例外が多く、手順が文書になっていないことがあります。この状態を大量処理の仕組みに乗せると、次のことが起きます。
- 最低契約量を満たせず、そもそも受けてもらえない
- 受けてもらえても、手順書を自社で用意するよう求められる(それが作れないから頼んでいる)
- 窓口と実際の作業者が別で、例外のたびに伝言が発生する
- 契約が終わると、やり方が相手側に残る
逆に、手順が既に文書になっていて、同じ作業が毎月大量に出る会社なら、大手BPOの方が確実に安く安定します。タイプ別の比較は比較・選び方のページに、各社の公開料金つきで書いています。
営業BPOの選び方|丸投げで終わる会社と、社内に残る会社の違い
営業BPOは「営業を外に出す」サービスの総称ではありません。会社ごとに受ける範囲が違うため、料金だけを比べると失敗します。自社に何を残したいかから選ぶ必要があります。
結論:選ぶ基準は、代行会社が何をしてくれるかだけではありません。契約のあと、自社がどの情報を見て、どの判断を続けられるかで決めます。
最初に、営業BPOの範囲を5つに分ける
新規開拓、アポ設定、商談、営業事務、営業管理の仕組みづくりは別の仕事です。「営業BPO」という言葉だけでは比較できません。
依頼したい作業を具体的に書き、各社が受ける範囲と重なるかを確認します。
確認1:自社が決めることを残せるか
価格、提案内容、優先顧客、商談の判断まで外へ渡す必要はありません。逆に、記録・集計・期限管理のように判断基準を決められる作業は分担できます。
「代行が決めること」と「自社が決めること」を契約前に並べると、期待のずれを減らせます。
確認2:報告が案件につながっているか
活動件数だけが並ぶ報告では、次の商談や受注対応に使えません。案件ごとに、相手の反応・次回対応・期限を確認できる形かを見ます。
報告書のサンプルを見せてもらい、営業会議でそのまま使えるかを確かめます。
確認3:担当が変わったときに止まらないか
個人の力量だけに依存する体制では、担当変更で経緯が失われます。窓口、記録場所、引き継ぎの方法を聞いてください。
担当固定が良いか、複数人のバックアップが必要かは、業務量と緊急性で決めます。
確認4:契約終了後の状態を聞く
使ったリスト、接触履歴、失注理由、案件の次回対応が自社へ戻るかは重要です。終了時のデータ受け渡しを曖昧にしないでください。
営業のやり方を内製へ戻したい会社は、手順と記録が残る契約かを優先します。
この節の確認項目です。空欄が多いところが、先に整える場所です。
- 依頼範囲を作業単位で比べた
- 自社が残す判断を決めた
- 案件単位の報告例を確認した
- 担当変更時の引き継ぎを聞いた
- 終了時に受け取る情報を確認した
営業BPOを導入しても成果が出ない5つの原因
営業BPOを入れたのに、報告は来るが売上につながらない。原因を「代行会社が弱い」で片づける前に、依頼する側に残す設計を確認してください。営業BPOは、動いてくれる会社を入れるだけでは機能しません。
結論:結論は、営業BPOの成果を止めるのは「アポ数」ではなく、アポ後を誰が・何を基準に追うかが決まっていないことです。代行の活動、商談化、提案、受注を同じ数字で評価しないことから始めます。
原因1:頼む範囲が一文で言えない
「営業をお願いします」では、アポ獲得なのか、商談設定なのか、見込み客情報の整備なのかが揃いません。依頼前に、代行側が行う作業と、自社に残す判断を1枚に分けます。
頼む作業/完了の条件/自社が返す期限。この3点が書けない業務は、先に社内で整理する方が安全です。
原因2:アポの後に次回対応が決まらない
アポが取れても、商談担当へ渡す時点で「誰が、いつまでに、何をするか」が空欄なら案件は止まります。活動報告と案件管理表を別々にしないでください。
案件ごとに、担当者・最終接触日・次回アクション・期限を同じ場所で確認できる状態にします。
原因3:見る数字が途中で入れ替わる
架電数、接続数、アポ数、商談化数、受注数は役割の異なる数字です。アポ代行に受注だけを求めても、商談後の対応が見えなければ原因を判定できません。
月次では「代行の活動」「商談の質」「自社の受注対応」を分けて振り返ります。
原因4:断られた理由が社内に残らない
見込みがない理由、時期が違う理由、競合を選んだ理由が記録されなければ、次の営業で同じ失敗を繰り返します。報告書を受け取ることと、営業の資産を残すことは別です。
失注・保留の理由を選択式と短い補足で残し、月に一度だけ傾向を見ます。
原因5:契約を終えた瞬間に情報が消える
代行会社の管理画面だけに履歴がある状態は、契約終了時に次の手が打てません。顧客情報の扱いと閲覧権限を契約前に決め、必要な記録は自社側でも見られる場所に残します。
営業BPOの選定では、成果だけでなく「何が自社に残るか」を確認してください。
この節の確認項目です。空欄が多いところが、先に整える場所です。
- 代行側が終える作業を一文で書ける
- アポ後の担当者と対応期限が決まっている
- 活動・商談化・受注を別の数字で見ている
- 保留・失注理由を自社で確認できる
- 契約終了後も案件履歴を引き継げる
よくある質問
Q1営業BPOと営業代行は何が違いますか。
営業代行は、テレアポや商談など営業活動そのものを引き受けます。営業BPOはより広く、新規開拓、インサイドセールス、営業事務、営業企画・分析、営業システムの運用まで、業務単位で委託する形を指します。同じ「営業BPO」でも会社によって扱う領域が違うため、契約前にどの領域を引き受けるのかを確認してください。
Q2営業BPOの費用相場はいくらですか。
料金を公開していない会社が多く、対象業務と量によって個別見積になるのが一般的です。金額を比べる前に、依頼する範囲、月あたりの発生量、急ぎの扱い、最終判断者、契約終了時に自社へ残るものを同じ条件でそろえて各社に聞くと、見積の差が何によるものか分かります。
Q3小規模な会社でも営業BPOは使えますか。
使える場合もありますが、最低契約期間や最低発注量の条件がある会社もあります。少量・一部業務だけの依頼に対応するか、業務設計だけを依頼できるかを先に確認してください。処理量がまだ少ない段階では、外へ出すより社内の手順を決める方が効果が出ることもあります。
Q4営業BPOに任せると、社内に情報が残らなくなりませんか。
契約の設計次第です。活動記録、断られた理由、案件の履歴を自社の管理表に残す取り決めがなければ、契約終了と同時に情報が失われます。契約前に、どの記録をどの形式で受け取るか、未完了の案件と次回対応も引き継げるかを確認してください。
どの領域が詰まっているかを、
一緒に見ます
30分だけお時間をください。5領域のどこが詰まっているかを整理します。当方の領域ではないと判断したら、そうお伝えします。
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